複数の会社で勤務する従業員の社会保険手続き

- 社会保険の加入対象者
- 社会保険適用拡大の影響
- 実務上の注意点
社会保険手続きに注意が必要
複数の会社で勤務する従業員がいる場合、
それぞれの会社で社会保険に加入するケースがあることをご存知でしょうか。
社会保険には、算定基礎届などの定期的に行わなければならない事務手続きがあり、2つ以上会社を掛け持ちする従業員については注意すべきポイントがあります。
社会保険適用拡大の影響とは?
社会保険加入対象となる従業員
①正社員、契約社員などフルタイムで働く社員
➁所定労働時間や所定労働日数が、正社員の3/4以上のパート・アルバイト等の短時間労働者
③特定適用事業所で働く、一定の要件を満たしたパート・アルバイト等の短時間労働者
次に、③に関して詳しく説明していきます。
短時間労働者への社会保険適用拡大の影響
従来、社会保険に加入する対象は、正社員または所定労働時間や所定労働日数が正社員の3/4以上のパート・アルバイト等に限定されていました。
この基準であれば、週の所定労働時間が30時間以上必要となるため、
2ヶ所以上の会社を掛け持ちで勤務している従業員が、複数の会社で被保険者となることは考えにくいケースでした。
ですが平成28年10月以降、社会保険の対象者は徐々に拡大され、
特定適用事業所で働くパート・アルバイト等の短時間労働者が一定の要件を満たすと、健康保険・厚生年金保険の被保険者となることになりました。
その点をまとめると、以下の表になります。

この表から分かる通り、社会保険の加入に必要な1週の所定労働時間は20時間以上となりました。
つまり、2ヶ所の事業所でそれぞれ20時間ずつ勤務している従業員が、
それぞれの事業所で被保険者となる可能性が生じます。
令和4年10月から、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所が対象となったため、このタイミングで2以上勤務者の手続きが必要になる人もいるかもしれません。
実務上の注意点
①保険料の金額について
給与から控除する社会保険料は、給与計算ソフトに等級を入力すると自動計算されます。
2以上勤務者については、年金事務所からの通知に記載されている金額を使います。
通知に記載されている健康保険料と厚生年金保険料は会社負担額なので、従業員の給与からはその半額を控除します。
もし、ご利用の給与計算ソフトが社会保険料の手入力に対応していない場合、別途控除項目を作成するなどの対応が必要となります。
②雇用保険について
会社役員の場合は雇用保険に加入しないので問題となりませんが、
従業員の立場であれば2カ所以上の事業所で雇用保険の資格を満たす可能性があります。
ですが、雇用保険には1つの事業所だけで加入することになっています。
雇用保険料は主たる事業所だけで控除され、その他の事業所では控除されません。所定労働時間数の多い事業所、給与の多い事業所を主たる事業所とします。
③被保険者の資格取得について
社会保険の被保険者の要件を満たした時点で「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を全ての事業所において提出しておくことが必要です。
「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」だけでなく、こちらも忘れないようにしてください。
(参照)厚生労働省_令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
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記事監修:近藤雅哉
社会保険労務士法人クラシコ 執行役員兼社労士事業部本部長
クラシコの創業期から関わっており、数多くの顧客を担当。
現在は社労士事業本部長として、社労士事業を統括している。
顧問先からの信頼が厚く、経験と専門知識を活かし、
お客様に寄り添った人事労務管理に関するアドバイスを得意とする。
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