【2026年最新】人事労務の法改正まとめ完全ガイド | 施行スケジュール・準備すべきポイントを解説!

この記事でわかること
  • 【1月施行】労働安全衛生法の段階改正がスタート
  • 【4月施行】在職老齢年金の基準額が大幅引き上げ
  • 【4月施行】女性活躍推進法の情報公表義務が拡大
  • 【4月施行】子ども・子育て支援金の徴収開始
  • 【7月施行】障害者法定雇用率が2.7%に引き上げ
  • 【2026年中(10月ごろ予定)】カスハラ・就活ハラスメント対策義務

2026年度は、人事・労務領域において法改正がいくつも実施される「法改正ラッシュの年」です。

順次施行される改正内容には、全企業が対応すべきものから、企業規模に応じて対応が求められるものまで多岐にわたります。
本コラムでは、特に注意すべき6つの改正と、人事担当者が今から準備すべきポイントをわかりやすく解説します。

 

【1月施行】労働安全衛生法の段階改正がスタート

改正の背景と目的

これまでの労働安全衛生法は、主に「雇用関係にある労働者」を保護対象としていました。

しかし近年、フリーランスや業務委託で働く方が増加し、正社員と同じ現場で働くケースが増えています。今回の改正は、働き方にかかわらず、同じ現場で働くすべての人の安全を守ることを目的としています。

 

主な改正内容

①個人事業者(フリーランス・一人親方等)への安全衛生対策の拡充

自社の正社員やパート社員と同じ現場で働く個人事業者も、労働災害防止の対象になります。

■具体例:
 建設現場で正社員と一人親方が混在して作業する場合、
企業は一人親方に対しても安全装備の提供や危険作業の注意喚起が必要になります

②化学物質対策の強化

 製造業や実験室を持つ企業では、化学物質を扱う際の管理がより厳格になります。

  • 罰則の強化
  • 代替名称通知の容認
  • 個人ばく露測定の法的位置付け

③機械等による労働災害防止

  • フォークリフト等の特定自主検査の基準明確化
  • 特定機械の製造許可制度の見直し

④高年齢労働者の労災防止方針の明確化(努力義務)

60歳以上の従業員が増える中、
高齢者特有の身体機能低下(視力・筋力・バランス感覚等)を考慮した職場環境整備が求められます。

【参考】厚生労働省「個人事業者等の安全衛生対策について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei03_00004.html

 

【4月施行】在職老齢年金の基準額が大幅引き上げ

改正の背景と目的

現在、60代後半で働きながら年金を受給する場合、「給与+年金」が月51万円を超えると、年金の一部または全部が支給停止される仕組みがあります(在職老齢年金制度)。

この制度が「年金が減るから働き方を抑えよう」という就労抑制につながっていました。
高齢者の活躍を後押しするため、基準額を引き上げることで、より働きやすい環境を整えます。

 

主な改正内容

現行:月51万円が上限
改正後(2026年4月~): 月62万円が上限

例1:Aさん(65歳・定年再雇用)のケース

  • 月給:46万円
  • 老齢厚生年金:月10万円
  • 合計:56万円
現行(~2026年3月)改正後(2026年4月~)
合計額が51万円を超過(56万円-51万円=5万円)62万円以下なので減額なし
基準を超えた老齢厚生年金(5万円分)の半額
25,000 円 が支給停止
老齢厚生年金10万円を全額受給
実際の手取り:月53.5万円実際の手取り:月56万円

【参考】日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html

 

【4月施行】女性活躍推進法の情報公表義務が拡大

改正の背景と目的

日本の男女間賃金格差は国際的に見て大きい状況です(OECD諸国の中で下位グループ)。
企業の透明性を高め、女性が活躍しやすい環境づくりを促進するため、情報公表義務が段階的に拡大されます。

 

主な改正内容

企業規模改正前改正後(2026年4月~)
従業員数301名以上男女間賃金差異(必須)+2項目以上男女間賃金差異(必須)+女性管理職比率(必須)+2項目以上
従業員数101~300名1項目以上男女間賃金差異(必須)+女性管理職比率(必須)+1項目以上
従業員数100名以下努力義務努力義務(変更なし)

 

「男女間賃金差異」の概要と計算式

男性労働者の平均賃金を100としたとき、女性労働者の平均賃金が何%かを示す数値です。
この数値は「全労働者」「正社員」「パート・有期社員」の3区分で算出・公表が必要です。

計算方法

  • 全労働者を雇用形態(正規、非正規)・性別(男・女)で分類し、総賃金・人員数を算出する
  • 各区分の平均年間賃金を算出する
  • 全労働者の平均年間賃金を、男女別に算出する
  • 全労働者・正規・非正規の男女間賃金差異を算出する

 

「女性管理職比率」の概要と計算式

管理職(課長級以上)に占める女性の割合です。

●管理職の定義:

「課長級」:課長と呼ばれる者で、組織が2係以上または構成員10人以上の長
「課長級より上位」:部長、本部長、役員(取締役は除く)等

●計算方法

  • 女性の管理職数 ÷ 管理職数 × 100%

 

公表時期と方法

事業年度終了後、概ね3ヶ月以内に公表が必要です。

厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページなど、学生をはじめとした求職者等が容易に閲覧できるよう公表してください。

事業年度の終了日公表期限(目安)
2026年3月末2026年6月末まで
2026年12月末2027年3月末まで
2027年3月末2027年6月末まで

【参考】厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

 

【4月施行】子ども・子育て支援金の徴収開始

制度の背景と目的

日本の少子化は危機的な状況にあり、2024年の出生数は過去最少を更新し続けています。
「こども未来戦略」に基づき、児童手当の拡充など年間3.6兆円規模の少子化対策を実施します。

その財源の一部として、社会全体でこども・子育て世帯を支える新しい仕組みが創設されます。

 

制度の詳細

■ 誰が負担する?

  • 被保険者(従業員本人)と事業主(会社)が1/2ずつ負担(健康保険料と同じ仕組み)
  • 医療保険に加入するすべての人が対象(年齢・独身既婚を問わず)

■ いくら負担する?

【段階的な導入スケジュール】

年度加入者1人当たり平均月額年間負担額(目安)
2026年度約250円約3,000円
2027年度約350円約4,200円
2028年度約450円約5,400円

※上記は全制度平均です。加入する健康保険組合によって金額が異なります

詳しくは下記のコラムをご覧ください

【コラム】「子ども・子育て支援金制度」導入がもたらす実務の影響と対応策
https://classico-os.com/column/20251114/kosodateshienkin/

 

【7月施行】障害者法定雇用率が2.7%に引き上げ

改正の背景と目的

障害者雇用促進法に基づき、企業は一定割合以上の障害者を雇用することが義務付けられています。

近年、障害者の就労意欲の高まりと、企業の受け入れ体制の整備が進む中、段階的に法定雇用率が引き上げられてきました。今回の改正で、さらに多くの企業に雇用義務が発生します。

 

改正内容の詳細

項目現行(~2026年6月)改正後(2026年7月~)
法定雇用率2.5%2.7%
雇用義務対象企業常用雇用労働者40.0人以上常用雇用労働者37.5人以上
雇用すべき障害者数40人に1人37.5人に1人

 

法定雇用障害者数の計算式

常用雇用労働者数 × 2.7% = 法定雇用障害者数(小数点以下切り捨て)

【具体例】

E社(従業員80人)の場合

  • 80人 × 2.7% = 2.16人 → 2人以上の雇用が必要

F社(従業員150人)の場合

  • 150人 × 2.7% = 4.05人 → 4人以上の雇用が必要

 

未達成の場合のペナルティ

【納付金制度】 常用雇用労働者100人超の企業で、法定雇用率を達成していない場合:

  • 1人分不足につき月5万円の納付金が発生

【具体例】 G社(従業員120人・法定雇用障害者数3.24人→3人・雇用している障がい者数1人)

  • 不足人数:2人
  • 納付金:月10万円(年間120万円)

 

【参考】独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「障害者雇用率制度」
https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003mbma.html

 

【2026年中(10月ごろ予定)】カスハラ・就活ハラスメント対策

改正の背景と目的

職場のハラスメント対策は、これまで「社内の労働者間」を中心に進められてきました。
しかし、近年以下の問題が深刻化しています。

  • 顧客や取引先からの理不尽な要求や暴言(カスタマーハラスメント)
  • 就職活動中の学生に対するセクシュアルハラスメント(就活ハラスメント)

今回の改正で、これらのハラスメント防止措置が初めて法的義務の対象となります。
なお、具体的な措置の内容は今後の指針によって示される予定です。

 

改正内容の詳細

①カスタマーハラスメント対策の義務化

■カスハラとは?
以下の3要素すべてを満たすものがカスタマーハラスメントです。
なお、商品の不具合に対する苦情など合理的な範囲での問い合わせは正当な権利であり、カスハラには該当しません。

  1. 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う
  2. 社会通念上許容される範囲を超えた言動により
  3. 労働者の就業環境を害すること

【具体例】

  • 長時間にわたる執拗なクレーム
  • 暴言・脅迫的な言動
  • 土下座の要求
  • SNSへの誹謗中傷の投稿
  • 過度な値引き要求
  • 業務に支障をきたす頻繁な電話

【事業主が講ずべき措置(予定)】

  1. 方針の明確化と周知
    • 「当社は顧客からの不当な要求には毅然と対応します」という方針を策定
    • 社内掲示、ホームページ掲載、店舗入口への掲示等
  2. 相談体制の整備
    • カスハラ専用の相談窓口設置
    • 相談者のプライバシー保護
    • 不利益取扱いの禁止
  3. 発生後の迅速かつ適切な対応
    • 事実確認の実施
    • 被害者のケア(配置転換、休暇付与等)
    • 行為者(顧客等)への対応(取引停止、法的措置等)
    • 再発防止策の策定

②就活ハラスメント(就活セクハラ)対策の義務化

【就活セクハラとは?】
求職者(就職活動中の学生、インターンシップ生、内定者等)が、
求職活動中に企業の労働者から受けるセクシュアルハラスメント。

【具体例】

  • 面接時の不適切な質問(「彼氏はいるの?」「結婚の予定は?」)
  • 採用面接後の不必要な個別の食事の誘い
  • インターンシップ中のボディタッチ
  • 性的な冗談や発言
  • LINEやSNSでの私的な連絡

【事業主が講ずべき措置(予定)】

  1. 方針の明確化と周知
    • 「求職者へのセクハラは許さない」という方針を策定
    • 採用担当者・面接官への周知徹底
  2. 面談等を行う際のルールの策定
    • 面接は複数名で実施
    • 個室での1対1の面接を避ける
    • 面接後の個別の食事は原則禁止
    • 業務上必要のない私的な連絡の禁止
  3. 相談体制の整備
    • 求職者が相談できる窓口の設置と周知
    • 企業ホームページや採用サイトに相談先を明記
  4. 発生後の迅速かつ適切な対応
    • 相談への対応
    • 被害者への謝罪
    • 行為者(自社社員)への懲戒処分
    • 再発防止策の策定

【参考】厚生労働省「ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00003.html

 

計画的な準備をすすめましょう

2026年度の法改正は、施行時期も対象範囲も多様です。
しかし共通しているのは、「企業の透明性と従業員への配慮」がより一層求められる時代になったということです。

施行直前に慌てることなく、今から計画的に準備を進めることで、円滑な実務対応と従業員からの信頼獲得を実現しましょう。

不明点や個別相談が必要な場合は、早めの相談をお勧めします。
もし対応に迷う点があれば、専門家である社会保険労務士にお気軽にご相談ください。

重要度 : ★★★

お問い合わせ

人事・労務に関するオンライン無料相談を受け付けております。
お気軽にお問い合わせ下さい。